光の子どもたち in Canoa

ブラジル東北部にある小さな漁村から発信する報告日記。大自然を今に残す“カノア”における奮闘の日々をお伝えします。 『本当の豊かさってなんだろう?』キラキラ輝く子ども達の目に惹かれてやってきたこの村。『子どもが子どもらしく子ども時代を幸せに生きるためには?』という疑問を探す旅は今も続く・・・

2007年05月

6c941adf.JPG私自身、2歳10ヶ月の娘を持つ母親であるが、
日本人でありながらブラジルで生活しているため、
子育てにおいて
不安になったり、
悩んだりと、
試行錯誤の日々である。

昨年まで、
私は娘に対して日本語を積極的に教えてはおらず、
まずは基本言語のポルトガル語を獲得してから、
日本語を・・・
と、考えていた。
しかし、
仕事の都合で毎年日本に一時帰国するため、
昨年は、
言葉を覚え始めていた娘にとって、
大きなショックであったようだ。
意思の疎通が母親意外と図れない状況に突然置かれ、
体調を崩してしまったのだ。
しかし、
一ヶ月ほど経ち、
今まで黙っていたことが嘘のように、
日本語を話し始めた娘。
これには家族共々驚いてしまった。
子どもとは、
本当に隠れた能力をたくさん持っている。
そんな事を実感した出来事であった。

先日、
こんな記事を見つけた。
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生後4〜6ヶ月の赤ちゃんは誰かが話している映像を音声なしで見るだけで、話されている言葉が母語か外国語かを区別できることが分かった。
カナダのブラティッシュコロンビア大学などの研究チームが25日付の米科学誌サイエンスに発表した。
ただその後は複数の言葉が話される環境で育たないと、8ヶ月でこの識別能力がなくなってしまう。赤ちゃんが言葉を習得する上で、口の動きや顔の表情が従来考えられていた以上に重要だという。
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この記事を見て、
『やっぱり早期教育よ。
英会話を乳児期から・・・』
という人がたくさん出てしまうのでは???
と、懸念すると同時に、
上記で述べているように、
母語と外国語。
やはり基本言語と言うものが重要であることも伺える。
そしてもっとも大切なこと。
それは、
表情や内面から出る気持ちなどが
赤ちゃんにとって重要であるという点ではないだろうか。
乳幼児の感覚器官は大人よりもはるかに優れており、
“肌で感じ取ってしまう”
というように、
私達がそこにいるだけで、
多くの事を受け止めてしまう。
人としてそこに居る。
そのときの自分を
きちんと意識していたいと思う。

18055f52.jpg現在カノア・ケブラーダ地区では、
風力発電の設置についての最終議論が進んでいる。
といっても、
4、5年前に地域住民の1%が参加した会議で
風力発電のプロジェクトを提示し、
そして今年1月に、
地域住民の0.5%が参加した会議で
風力発電の設置許可が下りた事が伝えられた。
といった、
全く住民を無視したプロジェクトである。
住民協会の理事でさえ、
全く知らなかったこのプロジェクト。
私達の耳に入ったときには
すでに州政府が設置許可を出しており、
私達住民は打つ手がなくなっていた。

風力発電は、
日本でも昨今積極的に取り入れている
電力供給システムであり、
温暖化など、
地球破壊が進む現在において、
自然を保護しながら電力を供給できる
素晴らしいシステムである。
しかし、
高さ50m以上の巨大な塔であり、
しかも、
カノアの風力発電で得られた電気は
他の市に送電されていく。
カノアには少しも恩恵がないのである。

人口約2000人ほどの小さな地区に
48もの風力発電。
一番近くでは、
民家から700mの場所に設置されるらしい。
しかも、
高さ80mの風力発電が。

砂丘の裏に広がる壮大な森。
そこが切り開かれ、
設置されるらしい。

未だに薪を朝晩取りにいき、
火をおこしている住民が居るエステーヴァン村。
森が切り開かれ、
48もの風力発電が設置されたら
それは環境に問題がないといえるのだろうか?
住民に何の影響もないと?

高さのみならず、
設置の際には地中深く掘る必要があり、
地下に水脈が流れ、
カノア・ケブラーダ地区一体に供給されている水に
何の影響もないと言えるのだろうか?

地域住民を無視し、
きちんとした調査も行われずに
設置が決定されてしまった今、
とにかく少しでも、
村から離れた位置に設置してもらえるよう、
自然をできるだけ保護する事が出来るよう、
住民が手を取り合い、
対処していく必要があるだろう。

1949fdb6.JPG私は教職員に、
『一人一人の子どもをじっくり観察する。
それをきちんと行っていきましょう』
といいます。
そして、
私達教師は、
一週間に一人、
ある子どもを観察し、
身体、
動き、
生活リズム、
家庭環境、
家庭の問題、
精神状態、
などなどを
話し合います。
一人の子どもを観察するといっても、
その他の子どもをおざなりにするのではなく、
ある一人の子どもを
いつもより少し気にかける、
観察する、
という姿勢が大切なのです。

子どもは一人一人違う。
その子をその子として、
丸ごと受けとめてあげる。
こういったことが、
私たちには必要であり、
子どもにとっても大切なことなのではないかと思います。

子どもを見守り、
じっくりその子と向き合う。
言葉でいうのは簡単ですが、
実際には難しいと感じることが多いのではないでしょうか。
私も、
料理のとき、
洗濯のとき、
仕事をしているとき、
娘と一緒にいても、
傍で遊んでいるだけで、
我が子と向き合っているのかと聞かれれば
そうではないと答えるしかないでしょう。
では、
子どもとどのくらい向き合ってますか?
と聞かれれば、
一日の内、
ほんの数時間であったりします。

時間だけの問題ではなく、
心のゆとりといった事が原因で
子どもを見守り、
じっくりと向き合うことができないこともあります。

それでもやはり、
一日数分でもいい。
子どもとじっくり遊ぶ、
向き合う、
笑う、
そんな瞬間が重要なのではないかと思うのです。

子どもを見つめる大切さ

これを心に留めて、
明日から子ども達と接してみませんか?

57ed945e.JPG2週間ほど前、
7歳〜10歳までの子ども達20名は
砂丘の裏側にある森の探検に出かけました。
子ども達の中には
毎日のように遊びに行っている森。
朝早くおきて母親と一緒に薪を取りに行く子どももいます。
それでも、
その森を
『環境教育』
という概念の元で
話を聞きながら、
体験、
経験する機会はほとんどありません。
そこで、
エステーヴァン村の
森の探検指導員に認定されたガイド共に
課外授業に出かけました。

それを受け、
5月4日には
森の中に住む蛇について、
学ぶ機会を得ました。
落ち葉に潜む蛇。
“蛇が居るから危ないよ”
というはなしはよく聞いても、
どんな蛇が実際に生息しているのか。
それを知っている子どもはほとんどいません。
初めて目の辺りにする
たくさんの蛇。
毒をもっているものもいます。

本で読むだけでなく、
身近に在り、
日常的に接している自然の中から
学んで行く事。
それは子ども達にとって
とても貴重な学びとなるのではないでしょうか。
こういった機会を
これからも積極的に取り入れていきたいと思います。

『非暴力的なコミュニケーションとは???』
最終回。

感情は私達の鏡である。
私達は、
私たち自身の感情によって起こりうる数々の事に対して、
責任を持たなければならないという事を
受け入れる必要がある。
外界から来る全ての事に対して
それらを受け入れるという事は
とても困難なことである。

批判的なメッセージを受け止めるための4つの法則;
1.私たち自身に過ちの矛先を向ける
2. 他人に過ちの矛先を向ける
3. 私たち自身の感情や必要性に関して耳を傾ける
4. 他人の感情や必要性に関して耳を傾ける

上記の4つを考えたとき、
私たち自身はどのような方法を取っているだろうか?
そして、
どの方法がより、
他人も、
そして私たち自身をも
傷つけずにいられるだろうか。

最後に、
下記の質問の答えをノートに記して欲しい。

“暴力的なコミュニケーションにならないように、
コミュニケーションをよりよくしていくには
今日から一体何が出来るだろうか?”


59c2794c.JPG私が初めてカノアの地に足を踏み入れたのが1999年。
初めのときこそ
“音楽教室”
“折り紙教室”
などなど、
日本の文化を伝えたり、
日本人である事を生かした活動を
積極的に行っていました。
しかしいつからか、
この地域で活動していくのならば、
この地域の事をもっと知らなければならない。
食事、
伝統工芸、
生活習慣、
といった事を、
積極的に学び、
まるでこの村で生まれ、育ったかのように、
ここの住民に近づけるように
努力していました。
そして、
自分が日本人であるということ、
日本の文化などを、
心に閉じ込め、
生活していたのです。

そして2005年。
カノアに日本人のボランティアがやってきて、
改めて日本人である自分を
再認識しました。
日本の文化、
日本人であるがゆえに出来ること、
伝えていけること・・・
それらを思い出させてくれたのです。

そして今、
新しいボランティアがカノアにやってきました。
そして、
初めて
『日本語教室』
が開講されることとなったのです。
たくさんの日本人がこの村を訪れ、
日本について興味津々の子ども達。
毎回生徒が増えていき、
4回目が終了した現在、
15名の子ども達が通ってきています。
少し誇らしげに
日本語で私に挨拶する子ども達。
ふと、
自分が出来なかった大切な事を
ボランティアの皆が一生懸命行ってくれている事に
心から感謝せずにはいられませんでした。

本当にありがとう!!!
そして、
これからもどうぞよろしくね。

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