光の子どもたち in Canoa

ブラジル東北部にある小さな漁村から発信する報告日記。大自然を今に残す“カノア”における奮闘の日々をお伝えします。 『本当の豊かさってなんだろう?』キラキラ輝く子ども達の目に惹かれてやってきたこの村。『子どもが子どもらしく子ども時代を幸せに生きるためには?』という疑問を探す旅は今も続く・・・

2008年10月

8fa2ba68.jpgQOL(Quality of Life 生活の質、人生の質)
という言葉をご存知ですか?
医療や福祉の現場では
積極的に取り入れられてきた
尺度です。
この方法に関しては
いまだ賛否両論なようですが、
ユニセフ研究所は、
2007年2月に、
先進国の子どもたちの幸福度についての
調査結果を発表しています。
24カ国で行われたこの調査。

オランダでは『孤独』を感じている子どもはわずか2.9%、
日本では「孤独だと感じる」と答えた子どもの比率29.8%。


“子どもが幸せだと感じる世の中は、
誰にとっても幸せでありうる。”


私はいつもそう思っています。
人は
物質的に豊かだから幸福だとは言えず、
一人ひとりが認められてこそ、
受け止められてこそ、
幸せになる得るのではないだろうか。
そんなことを考えさせられてしまいました。

皆さんはこの調査結果を見て、
どのように思われますか?

2e3ccea4.jpg今月の満月は
本当に素敵でした。
そして、
カノアの漁師にとって見たら
厳しい満月でした。

月の満ち欠けは
潮の満ち引きと大きな関係があります。
満月と新月の日には
夜中の満潮が通常よりも高く、
海岸に停めてある
JANGADA(ジャンガーダ)をも
海にさらって行ってしまうことがあります。

今月の満月は
一年の中でも大きな力を持っている月。
満潮時には
大きな崖を崩し、
漁船であるJANGADAが
海に流されそうになっていました。
夕方、
多くの漁師が海岸に集まり、
漁船を崖の上に置き、
海から守ろうと必死でした。
そのかいもあって、
一艘も海にさらわれることはありませんでした。

月の神秘、
月の魅力、


カノアに来て、
初めてそのことに気付きました。

761637c6.jpg現在、
着々と工事の進んでいる風力発電。
ここカノアでは、
3基目の設置をしているところです。
住民協会の努力により、
予定よりも大幅に減らされて、
5基の設置が確定しているカノア。
もう一つの設置地域、
クンビでは、
残念ながら当初の計画通り、
64基が設置されるそうです。
クンビは
河口付近にある町で、
海にもほど近く、
自然も豊か。
マングローブの生息地でもあります。
そして、
以前はジュゴンも
出産と育児のために
この地域に来ていたとか。
しかし、
エビの養殖が始まり、
自然が汚染され、
マングローブも危機的な状況にあります。
そこにきて、
風力発電。
クンビには
たくさんの水脈があり、
アラカチ市の多くは
クンビから吸い上げた水が配給されているそうです。
しかし、
今回の風力発電計画により、
水脈がほぼ切断してしまうらしく、
水道局は
今後5〜10年以内に
アラカチ市の水は絶えてしまうだろうという見解を
出しました。

カノアでは
エステーヴァン村に水脈があり、
そこから配給されているため、
この被害にあうことはありませんが、
それでも計画通りに進めようとしているとは
いったい何を考えているのでしょうか?
人が生活していくために
水は必要不可欠です。
それは、
電気よりも重要であるといえます。

今後の進展を
見守っていきたいと思っています。

a4d90bd8.jpg10月19日。
「劇団 エステーヴァン」
が公演を行いました。

エステーヴァン村の名前由来ともなった
エステーヴァンさんの物語。
昔を思い出して、
エステーヴァンさんの子ども達、
その孫、
みんなが
悔いるように観劇し、
笑い、
涙し、
思い出にふけていました。

この劇を行った青少年たちも
昔の生活を知り、
物語を自らの言葉で語るなかで
多くの学びがあったことと思います。

時間通りに開園された今回の劇。
ブラジルではお馴染みの

“定刻から30分後”

ではなかったために
観客の半分は
劇半ばからの観劇だったため、
年末に再公演しようか…
という話もしています。

素晴らしい劇を、
本当にありがとう!!!!

851deb1c.jpg以前から書かせてもらっている風力発電問題。
現在、
すでに2基が砂丘の上に設置されました。
まだ稼動していないので、
囲いもなければ、
何もない。
子ども達も
興味津々で傍に行っては
見上げています。

5基の設置が予定されており、
すべての設置が終わったときには
その周辺は立ち入り禁止となり、
設置されている
砂丘に近づくこともできなくなります。

現在でも
薪を取りに行ったり、
果物の収穫や
子ども達の遊び場として欠かせない砂丘。
それが、
1年も経たないうちに
できなくなってしまいます。

風力発電自体に反対ではありませんが、
それを設置するにあたり、
現地調査はもちろんのこと、
周辺地域への説明、
設置地域住民の許可を
取るべきではないだろうか。
最低限のルールさえも守らず、
設置に至った今回の風力発電。
だからこそ、
私は今でも賛成できないのです。

本日も劇の稽古。
役に就いている子も、
裏方の子も、
今日は観客になり、
劇の流れをみんなで確認しました。

昨日よりも、
流れが分かってきた役者たち。
歌にも熱が入ります。
ただ、
観客となった子たちは
友達との話に花を咲かせ、
劇に集中できません。

それでも、
なんとか最後までたどり着き、
当日、
最後に観客を巻き込んで
どんなことができるのか?
話し合いました。

踊り、
歌、
ゲーム…

劇とかけ離れたことはできません。

さぁ、
明日はどうなるでしょうか?
今から楽しみです。

3c1e7c32.jpg先週から始まった劇の講座。
なかなか参加者が安定しない中、
それでも、
ストーリーが決定し、
今日、
はじめて稽古をしました。

私にとっては、
劇を行うためには
台本ができて、
すべての参加者が
(演じる人以外の舞台設置なども含め)
流れを理解している必要があると思っています。

しかし、
ここはブラジル。
カノア。

あらすじが決定し、
役をみんなで決め、
それぞれのシーンごとにグループに分かれ、
シーン内のセリフを作っていきます。
それと同時に
裏方の人は
衣装や舞台装置を考えていきます。

“こんなんでできるの!?”

と思っていた私。
でも、
今日すでにある程度の流れ、
セリフ回しが
出来上がっていました。

恐るべしブラジル。。。

10月19日(日)が本番です。
さぁ、
明日も稽古だ!!

eb9c8be6.jpg10月7日。
青少年グループを対象とした
「劇」
の講座が開始された。
1週間の講座。

初日。
10名ほどしか来ない。
2日目、
15〜17歳を対象にした
政府のプロジェクトに参加している生徒が
参加。
合計25名ほどに。

そして今日、
3日目。
合計15名の参加でした。

参加している青少年の反応は
かなりいい。
楽しんでいるし、
アイデアもたくさん出してくれる。
でも・・・
参加するのなら、
毎日来てほしい。
今しかないこのチャンス。
それでも、
“約束”
というものが
本当に軽く考えられているような、
そんな風に感じてしまう。

講師としてサンパウロから呼び寄せた
私の友人。
青少年プログラムを全国で開催している。
彼曰く、
「地域によって
いろいろな問題や課題が起こる。
これもカノアの特徴の一つ。
それでも、
最後まで
やってみないと。
素晴らしい発表会が
地域のみんなに見てもらえるようなものが
彼らと一緒に作れたら
それで満足だよ。」

一つ一つ、
教えては
進み、
そして、
また戻る。
歩みは本当に遅いけど、
それでも、
その日その日の彼らの表情は
本当に素晴らしいものばかり。
だったら、
続けていかねば!!!

3ea24c85.jpg先日、
村の母親たちと話していた時のこと。
私が長女と次女の違いを、

「長女のときは何をやるにも慎重で、
寝返りを打つときも、
つかまり立ちをするときも、
何度もトレーニングしていたのに、
次女は
“今だ!!”
と思うと次には
できるようになってる。
おもしろいよねぇ〜」

と話していると、
ある母親がこんなことを言いました。

「覚えてる?
あなたは長女の出産のとき、
前駆陣痛がひどくて
出産かと思って3度も病院に行ったでしょ?
次女のときは
検診に行ったら
今すぐ入院して下さいって言われて、
分娩室に行く間もなく生まれちゃったじゃない。
この違い。
生まれながらに
子どもは個性を持っているって
ことなんじゃない?」

なるほど。
納得してしまいました。

出産と子育て。
身近なようで、
こんな風に考えたことはありませんでした。
これでますます
子育てが楽しくなりそうです。

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