光の子どもたち in Canoa

ブラジル東北部にある小さな漁村から発信する報告日記。大自然を今に残す“カノア”における奮闘の日々をお伝えします。 『本当の豊かさってなんだろう?』キラキラ輝く子ども達の目に惹かれてやってきたこの村。『子どもが子どもらしく子ども時代を幸せに生きるためには?』という疑問を探す旅は今も続く・・・

2014年08月

私達は今、
JICA草の根技術協力事業として、
乳幼児及び青少年に対する事業を実施しています。
私の専門は幼児教育。
なので、
現地における大きな問題が「青少年」にあっても、
乳幼児期における関わりによって、
その後の人生をよりよくしていく…
という事業の方が、
やりやすいというのが本音です。
ですが、
やはり今、
目の前で大きな問題を抱えている青少年達にも何かできないか。
と考え、
『ライフスキルトレーニング』
を事業の中で実施しています。
初めは対象地区である、
「カノア・ケブラーダ地区」のみで実施していたのですが、
UNICEFの活動との関わりもあり、
「アラカチ市」へと活動地域を広げることとなりました。
そして、
3つの学校において実施していた活動の評価が高く、
今日、
8月29日、
14校から合計27名の生徒が参加して、
ワークショップを行いました。
午前中はUNICEFの活動についてや、
現在市内で行われているプログラムについての話があり、
私の担当は午後のワークショップ。
午前中は暑さもあり、
おなじみの偏頭痛がやってきて、
気分も悪くなり、
自分自身、
「大丈夫かな?」
と、
心配していたのですが、
なんのその。
午後になり、
ワークショップを開始すると、
あら不思議。
頭痛が吹き飛んでしまいました。
それもそのはず、
彼らは真剣に耳を傾け、
ときには踊り、
遊び、
話し合い、
その場の空気が本当に澄み、
大きなエネルギーが生まれているというのが、
はっきりと分かるほどでした。
DSCF6366
彼ら自身も感じること、
考えることも多かったようで、
「大切なことを学んだ」
「またこうした機会を持ちたい」
と、
多くのコメントをもらいました。

私の専門は幼児教育。
でも、
“教師”という職業柄か、
やはりこうした関わりというのが私自身にあっているのだと、
実感した一日でした。

一緒に活動を行っているみんな、
本当にありがとう!!
そして、
次回もどうぞ、
よろしくお願いします!!

2014年後期より、
私達の保育園には2人のハンディーキャップを持った子ども達が入園しました。
一人は、
身体障がいのある女の子。
そしてもう一人は、
自閉症の気がある男の子です。
(まだ断定できていません)

私は補佐としてクラスに入っているのですが、
身体障がいのある女の子に対してクラスの子ども達は、
「助けてあげたい」
「見守ってあげよう」
と、
初めての集団生活をしている女の子に対して、
温かい雰囲気があります。
しかし、
自閉症の気がある男の子には、
「なんであの子だけ?」
「何が違うの?」
と、
先生の話を聞いても、
納得できていない、
分からないという子どもがたくさんいるように感じます。

そんな中、
自閉症の気がある男の子の父親の家族が、
口々に、

「あいつはすごいよ。父親として尊敬する」
「あそこまでの忍耐は、誰もが持てるものではない」
「自分は果して、自分の子どもときちんと向き合っているだろうか?」

と、
話すようになりました。
実は、
このこの子は赤ちゃんの時にはよく祖母の家に遊びに来ていたのですが、
その後は縁遠くなっていたのです。
今回、
私達の保育園に入園したことで、
この男の子の父親の家族は皆、
自分の息子、兄がどんな生活をしているのか。
どうやって自分の子どもと向き合っているのかを
初めて目の当たりにしたのです。
中には、
10代のときにできた娘を認知しているものの、
その後は娘の母親とは険悪となり、
現在まで来ている人がいました。
彼は今まで、
自分の娘(現在14歳)を育ててくれたことに対して誰かにお礼を言ったことがありません。
それを誰に対しても示したことすら、
なかったのです。
しかし、
ある日突然、
「いつも娘を大切にしてくれてありがとう」
という言葉をかけました。
ちょうど、
この男の子が彼の家に遊びに行ったその帰りの事でした。

今自分の目の前にあること、
今自分が手に持っているもの、
それは当たり前すぎて、
目を向けることはあまりありません。
しかし、
この男の子の存在が、
一人、
また一人と、
周囲の人たちにたくさんの事を気付かせてくれるようになっています。
彼の存在は、
今では全ての周囲の人たちにとって、
かけがえのない、
大切なものとなっている事を、
少しずつではありますが、
感じ始めています。

2014年8月7日、
ブラジルのGlobo系列のローカル番組、

「Nossa Ceara a cara da gente」

で、
私達の活動が紹介されました!!
5分程度の短いプログラムなのですが、
周囲の評判は上々です。
子どもたちの家族は大騒ぎ!!
孫の姿に涙したおばあちゃんもいたとか(笑)
次女も日本語を紹介。
ただ、
「セアラで生まれました」
というべきところを、
「セアレンシで生まれました」
と言ってしまったことが残念;;;
ポルトガル語で“セアレンシ”とは、
セアラで生まれた人という意味なのです。
そこはご愛嬌ということで(笑)
体育教師をしている彼は、
“セアラの漁師”
と紹介されたことが気に入らない模様…
自分の職業を愛してやまない彼の事。
心残りだろうなぁ〜とは思います。
まぁ、
それ以外は本当によくまとめてくれていますよ。
皆さんもぜひ見てください!!

http://g1.globo.com/videos/ceara/cetv-1dicao/t/edicoes/v/criancas-sao-educadas-por-japonesa-que-casou-com-pescador-cearense/3548959/

先日、
近所の人たちとコーヒーブレイクを楽しんでいた時、
(ここでは毎日夕方17時半になると、
皆が集まってコーヒーブレイクを楽しむのです(笑))
ある人が
10人ほどいた子ども達にこんな事を聞きました。

「もし一つだけお願いを聞いてくれるとしたら、
どんなお願いごとをする?」

「バービーを買ってもらう!!」
「鳥みたいに空を飛べるようにしてもらう!!」

「どこでもドアが欲しいって言う。」
→(これは我が家の長女の願い(笑))

「おなかいっぱいにおやつを食べる!」
→(これは我が家の次女の願い。さすがはくいしんぼう(笑))

そして、
一人の4歳の男の子がいいました。

「家に食べ物がありますように」

この答えを聞いた私達は一瞬、
言葉を失ってしまいました。
聞くと、
ここ数週間、
満足にご飯を食べていないそうです。
保育園と学童教室で食べているのが
彼にとっての唯一の食事。

彼は祖母の家に
両親、4人の兄弟、叔父と叔母、叔母家族と住んでいます。
(祖母は他の家に住んでいます)
11人家族です。
叔母家族は一緒に住んでいるといっても、
離れで暮らしているため、
家計は別々。
なので、
多くの場合、
食事も別だそうです。
父親は漁師。
でも、
麻薬で何度も捕まったことがあります。
母親は(最近この村にできた)パン屋でお手伝いをしています。
安定した収入はなく、
親せきの家で食事を共にさせてくれるようにお願いすることもしばしばだそうです。

昨今、
私達が保育園を設立した当時とは異なり、
家に食べ物がないという子ども達はだいぶ減りました。
それでも、
数人、
お腹をすかせて登園してくる子ども達がいます。
こうした子ども達にとって、
毎日家の食事があるということは、
どんなことにも代えがたいほどの幸せなのです。
この子ども達に私達ができること。
DSC04663
それは、
これからも
保育園や学童教室で、
おいしいく、栄養価の高い給食を提供することくらいです。
元気に遊び、
笑顔の絶えない子ども達を見続けるために。
2008_0918brasil0336

今日、
「子どもの人生に影響するメディア」
というタイトルで、
講座を開きました。
対象者は主に私達の保育園及び学童教室に通う子どもたちの家族。
約30人ほどが参加してくれました。
今回は年齢も様々で、
兄弟やいとこなども参加してくれました。
その中に、
私達の保育園の第1期卒園児がいました。
今年19歳になる彼は、
ディスカッションになると、
手を挙げて話し始めました。
110-1003_IMG
「僕は毎日、
2人の姪っ子の面倒を見ています。
午後には高校に行くので、
午前中だけなのですが、
気をつけていることがいくつかあります。
それは、
目を見て話すこと。
テレビやビデオなどは1時間以内とすること。
宿題や手洗いうがいなど、
やらなければいけないことがあるときには、
それをきちんと優先させること。
テレビやビデオを見せるときには、
事前に自分で確認し、
2人の姪っ子にとって悪影響の無いものにすること。
ただじっと座っているだけではなく、
歌ったり、踊ったりするような、
五感を使えるものを選ぶこと。
僕も10代で、
もちろん、
携帯やゲームには興味があります。
でも、
自分自身で時間の制限や、
使用する時間帯などを考えるようにしています。
家族は支え合うものです。
大変だと感じたら、
手を差し伸べるべきだし、
きちんと相手にも伝えるべきです。
保育園や学童教室で学んだことは、
今でも忘れません。
姪っ子たちにも手遊びや、歌を歌ってあげることもあります。
幼児期だからできること。
許されること。
楽しめること。
それを姪っ子たちにも伝えたいと強く願っています」

これを聞いた参加者みんな(ほとんどが母親もしくは父親なのですが)は、
大きな拍手を送りました。
そこらの母親よりも、
本当にいろいろなことを考え、
実行に移している様子は、
素晴らしいとしか言いようがありません。
ましてやそれが、
卒園児であることに、
私達は大きな誇りを感じました。
あの小さな男の子が、
こんなに立派に成長してくれたこと、
本当に感謝です。

※この講座はJICA草の根技術協力事業として実施しています。

このページのトップヘ