光の子どもたち in Canoa

ブラジル東北部にある小さな漁村から発信する報告日記。大自然を今に残す“カノア”における奮闘の日々をお伝えします。 『本当の豊かさってなんだろう?』キラキラ輝く子ども達の目に惹かれてやってきたこの村。『子どもが子どもらしく子ども時代を幸せに生きるためには?』という疑問を探す旅は今も続く・・・

2016年06月

私がカノアに住むようになってから16年。
こちらに住み始めたばかりの時、
一緒に住んでいたエヴァさんと共に週に2回、
コーラスグループに通っていました。
レシーフェで暮らしていた彼らは、
奥さんの生まれ故郷であるこの地に、
退職後に移住。
ソプラノ歌手の奥さん。
指揮者である彼は哲学と言語の大学教授。
その傍ら、
コーラスグループで指揮をしていたそうです。

音楽文化といったものにあまりなじみのないこの地において、
彼らの目指しているものは、
道楽ではなく、
まさに、
第三の人生を歩むための、
新たな試みでした。

ブラジルでの暮らしの中で自分でも気づかなかった、
私の心の奥で必要としていた欠片が、
彼らのコーラスグループに加わったことで、
満たされた。
それほど私にとっては大きなものでした。
結婚し、
妊娠し、
出産し・・・
いつでも変わらず週2回の練習に参加していました。

指揮者である彼が病気の治療のため、
レシーフェに頻繁に帰るようになり、
自然と消滅してしまったこのコーラスグループ。

今日、
久しぶりに彼らの家で、
コーヒーブレイクを楽しみました。
先週80歳の誕生日を迎えた奥さん。
今でもレシーフェのコーラスグループの一員として歌っているそうです。
指揮者だった彼は、
数年前に認知症を患いました。
が、
私を見た途端、

「まゆみ、元気だったか?」

と、
強く抱擁をしてくれました。
覚えていてくれた。
そして、
その笑顔とあたたかい気持ちに涙が出そうになりました。
相変わらず素敵な夫婦との会話。
話は尽きませんでした。
今度は大きくなった娘二人を連れて、
会いに行こう。
あの時、
お腹にいた娘。
あの時、
ベビーカーの中で私たちの歌声を聞いていた娘。
今では小学6年生。
私の人生の欠片を、
ここでの生活をつなぎとめてくれたその破片を、
娘たちに伝えていかなければ。

ブラジルと日本の学校に通っている娘たち。
今は、
ブラジルにいるので、
こちらの学校に通っています。
(当たり前ですが(笑))

娘たちはスクールバスに乗り、
30分程かけて学校に通っています。
先週から今週の火曜日まで、
学期末テストがありました。
留年制度のあるブラジルでは、
この学期末テストで赤点を取ると補講があり、
その後に再テストを受けることになります。
年度末のテストでは、
その再テストで再度赤点をとると、
留年が決定するのです。
そのため、
学期末の成績を親が学校に取りに行くのですが、
その日は子どもたちにとってはドキドキが止まらない日でもあります。

さて、
木曜日に学校に成績表を受け取りに行ってきました。
娘たちは見事、
二人ともよい成績を収め、
無事に長期休暇となりました。
が、
長女は現在6年生。
ブラジルでは5・4・3年制のため、
6年生からは教科担任となり、
日本の中学校と同じ授業形態となりました。
試験も今までとは異なり、
難しくなっているようです。
ということで、
テストの点数は今までで最低となってしまいました(涙)
それでも、
生活態度、テストの点数など総合評価では学年で10位以内に入ったらしく、
学校の入り口には写真が飾られていました。
おめでとう!!

長期休暇に入り、
必ず家のお手伝いをすることを約束としているため、
家や庭の掃除をしている娘たち。
3日目となる今日は、

「掃除にあきたから、今度は料理の手伝いがいいなぁ〜」

と言い出した二女。
7月末まで続く長期休暇。
果たして最後まで約束を守れるのか!?

6月17日、
学期末の終了式として、
”Festa de Sao Joao(Festa Junina)”
を行いました。
この6月のお祭りは、
豊穣を祝うお祭りで、
ブラジル北東部の伝統行事でもあります。
近年忘れ去られていたこのお祭りは、
最近になって注目を集め始め、
ブラジル国内のあちらこちらで、
このお祭りが行われています。
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今年は2クラス。
それでも、
保護者の方作成のお菓子を販売したり、
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日本の夏祭りの出店のようなもので子どもたちはゲームを楽しみ、
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最後には、
手作りの行灯を手に持ち、
村の中を歩きました。
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そして、
キャンプファイヤーを囲んで音楽を奏で、
歌を歌い、
踊り…
と、
子どもからお年寄りまで楽しい時間を過ごすことができました。
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この時期は本当に村を楽しく、
明るい気持ちにさせてくれます。
さて、
長期休みに入りました。
子どもたちや先生がお休みでも、
私はたまっている事務仕事を片付けながら、
他の仕事など、
休んでいる暇はありません。
夏バテも解消したし、
さぁ、
頑張るぞ!!

私たちは、
「幼児教育」
というものが確立されていないブラジルにおいて、
少しでも、
教育現場に、
「学校教育ではない、幼児教育の在り方」
を見せていきたいと、
今までにも養成講座や、
私たちの保育園への研修生受け入れ、
勉強会などを実施してきました。

2016年より義務化された4歳以上の義務教育。
しかし、
なかなかそれに対応しきれていないというのが、
ブラジルの現状です。
それでも、
アラカチ市では、
教員養成講座を実施し、
「幼児教育」
というものを根付かせていこうと、
私たちと一緒に努力しています。

参加している教員のほとんどは、
今まで小学校低学年を教えてきた先生たち。
そのため、
4、5歳児クラスでも、
1年生と変わらない授業体制をとっている人、学校がまだまだあります。
それでも、
少しずつではありますが、
教員養成講座を通じて、
一日の流れや教え方、
その教材に至るまで、
工夫している人たちもいます。
こうした人たちが少しでも増えていくことを願って、
私たちはこれからも、
こうした教員養成講座を実施していきたいと思っています。
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※これら事業はLUSH-Japanの助成を受けて実施しています。

IMG-20160610-WA0017私は今、
保育園や学童教室のあるカノア・ケブラーダ地区だけではなく、
同じ市内の他の地域にも足を運ぶ機会がたくさんあります。
地域によって保護者や子どもの雰囲気、
生活状況が異なるのは当前ですが、
同じ市であっても、
校長先生や教頭(主任)の先生によってここまで違うのかと、
驚くことが多々あります。

カノア・ケブラーダ地区の学校の校長は、
教育現場で働いた経験はなく、
教師の資格も持っていません。
現在大学の法学部に通っている学生です。
なぜ彼女が校長となったのか。
それは、
選挙の応援をしたから…です。
彼女は実に4年もの間、
校長の座にいます。
学校にはほぼ足を運ばず、
子どもには威圧的、
教師から避けられる存在であっても…です。

そして今日私が訪れた学校。
教頭先生が今年初めに校長となり、
主任の先生をはじめ、
ほとんどの先生(教師の半分)がこの学校で長年勤めています。
保護者からの人望も厚く、
信頼関係ができており、
子ども達も学校に通うのが大好きです。
子どもの中には、
自分の家の近くの学校ではなく、
この学校を選んで通ってきているという児童がいるほどです。

この2つの学校は、
門を入るだけで、
その違いが分かるほど、
大きく異なっています。

IMG-20160610-WA0014校舎の老朽化、
教師不足など、
市が抱えている問題はどこの学校でも同じですが、
教師が働きやすい学校であれば、
不足するということはないと、
今日校長先生が話してくれました。
同じ市なのにここまで違う。
子ども達に罪はないのに、
ここまで大きく異なっているというのは、
やはりどうにかできないものなのか。
学ぶ権利。
それをきちんと得られる環境を整えてあげたいものです。

2016年はリオ・デジャネイロ(ブラジル)でオリンピックが開催されます。
ブラジル国内の様子からすると、
2014年のW杯とは大きく異なり、
特に私が住む北東部では、
オリンピックが話題に上ることがほとんどありません。
しかし・・・
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今日、
6月7日は、
私たちが住む町、
アラカチ市に聖火がやってきます!!
市の祝日となった今日、
私たちは招待されたこともあり、
聖火を見てきました。

こうして聖火の到着を実際に見て、
ようやく、
ブラジルでオリンピックが開催されるんだと、
感じる(信じられる)ようになりました(笑)
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時間にルーズなブラジル人が、
分刻みのプログラムを発表。
8:06 聖火到着
8:12 聖火市内に向けて出発
・・・
で、
実際はどうなったかというと、
7:54 聖火到着
8:07 聖火市内に向けて出発
・・・

ということで、
聖火を持って走ってきた人のペースが速すぎ、
迎える音楽隊の準備も整わず、
聖火が出発した後に演奏…となってしまいました(笑)
周囲の人は、


「アラカチ市の最近の治安の悪さから、
聖火をとられないようにと、
慌てて走ってたんじゃないか?」

貴重な瞬間に立ち会え、
感無量な私なのでした。

私たち乳幼児教育に関わる人たちは、
人間の形成にとって、
乳幼児期がいかに重要か、
大切であるかを考え、
子ども達と日々関わっていると思います。
その中でも、
”右、倣え右”のような、
全ての子どもが同じように、
同じ時間の中で、
発達成長してくこと。
というのは、
考えられないということを、
多くの人が気づいており、
それをどうにかしたいと考えているのではないでしょうか。

そんな中、
下記のようなニュース記事を読みました。
初めの一歩という感じですね。
とてもうれしいニュースだったので、
これからへの期待を込め、
下記に少し引用させていただきます。

「保育指針10年ぶりに見直し 少人数保育の充実へ」
(NHKwebnews2016年6月1日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160601/k10010542011000.html

「成長の個人差が大きい3歳未満の乳幼児の保育を充実させるべき
(中省略)
乳幼児期の保育は、その後の成長や社会性を身につけるうえで重要だとしたうえで、
一律ではなく、
それぞれの子どもの身体的、精神的な成長に合わせて
少人数で保育することが重要」

東京家政大学の井桁先生のナースリールーム。
ぜひ一度訪問してみたいと、
思いました。

私が小学生の頃、
まだ一家に一台パソコンがある…
という時代ではなく、
それでも、
小学校高学年には寝る時間が遅くなり、
ドラマを見るようになり、
友達と過ごす時間が増え、
休みの日には友達と電車で出かけるようになりました。
そう。
家族と過ごす時間が少なくなっていったのです。

現在、
長女は小学6年生。
まだ携帯は持たせていないものの、
日本にいたときには友達と電車で出かけるようになりました。
ただ、
20時には部屋に入り、
21〜22時には寝ているので、
ドラマを見る…ということはまだ経験していません。
ただ、
私がパソコンを買い替えることにしたので、
使っていた古いノートパソコンを娘にあげることにしたのです。
そこで、
保護者の制限付きにし、
渡す前に二人でじっくり話し合い、
ルールを決めました。
そのため、
パソコンを使っていい時間も決まっており、
今までのところ、
ルールを守って使用しています。

今日、
ある講演会に行ってきたのですが、
その中の一つのテーマが、

「思春期の子ども達の現状」

でした。
ブラジルは今、
治安が悪化しており、
子ども達が自由に外で遊べる環境を得ることが難しくなってきています。
そのため、
家の中にいる時間が増え、
テレビ、ゲーム、パソコン、インターネット…
と、
余裕のある家庭ほど、
こうしたものを買い与え、
自分の子ども達は安全だと感じています。
しかし本当は、
現代における危険の多くは、
インターネットを通じて行われることが多く、
子ども達のいじめも、
Facebookやwhatsupといった、
ソーシャルメディアを通じて行われているというのが、
現状です。

では、
子ども達を守るにはどうしたらいいのでしょうか?

まずはインターネットなどの使用制限、
家庭でのルールをきちんと決めることが大切だと言います。
そして、
人と人のコミュニケーション。
会話を通じて、
自分の子どもの姿をきちんと把握すること。
ブラジルでは、
自分の子どもの友達を知らないという親が多くいます。
それは、
子ども達がスマホやパソコンを通じて関係を作り、
親子の会話がないので、
友達の名前を口にすることがないからだと言います。

世の中は便利になりました。
少ない時間で多くのことを処理できるようになり、
世界中と常に繋がっていることができます。
反対に、
私たちは何を手放してしまったのでしょうか?
自分の子ども達にどんな世界を見せてあげたいのでしょうか?

我が家は娘たち二人ともおしゃべりで、
その日にあったことを話さずにはいられません。
でも、
そんな時間もとても貴重で、
大切なものであるということを今日、
再確認することができました。

さて、
娘たちは明日、どんな話をしてくれるのかな?
耳を傾け、
そのかけがえのない時間を大切にしたいと思います。

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