60f658d8.JPG日本に戻ると、
私の歩調は軽やかになる。
カノアでは、
一面が砂地のため、
足が捕らわれてしまい、
一歩を出すことが大変なのだ。
そして、その一歩一歩を噛み締めながら
歩いていく。
確実に踏み出していくその歩。
それはそれで、
人生をも物語っているようにも感じ、
一歩の重さをずしんと心に感じる。

そして、
日本で育った私には、
平坦で、
コンクリートという、
誰にでも歩けそうなこの道のほうが、
歩調が合っているようだ。
そのために、
足取りは軽やかに、
軽快になる。
逆に、
娘の場合は、
砂地での生活に慣れているため、
その一歩一歩は重たく、
歩を進めるのに、
その一歩一歩を力強く出していくのである。
傍から見ていると、
『もっと軽やかに歩きなさい』
と言いたくなるのだが、
これもまた彼女の個性。
その力強い一歩が、
一歩一歩を大切にしている姿に見え、
微笑ましくも感じてしまうのである。

歩き方。
どこに住んでいようと、
どこで育とうと、
人それぞれの歩き方は全く違う。
だからこそ、
その一歩一歩を
大切に出していきたいと思う。