小学6年国語の教科書のために書き下ろしたという、
司馬遼太郎の
「21世紀に生きる君たちへ」

片付けていたら出てきたので、
読んでみた。
そして、
なんとも考えさせられた。
その一部をご紹介。

“むかしも今も、また未来にも変わらないことがある。
そこに空気と水、それに土などという自然があって、
人間やほかの動植物、さらには微生物にいたるまでが、
それに依存しつつ生きているということである。”

“「人間は自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている。」
この自然へのすなおな態度こそ、21世紀への希望であり、
君たちへの期待でもある。”

“ー自分には厳しく、相手にはやさしく。
という自己を。
そしてすなおでかしこい自己を。
21世紀においては、特にそのことが重要である。
科学・技術がこう水のように人間をのみこんでしまってはならない。
川の水を正しく流すように、
君たちのしっかりした自己が科学と技術を支配し、
よい方向に持っていってほしいのである。”

“人間は、助け合って生きているのである。
私は、人という文字を見るとき、しばしば感動する。
斜めの画がたがいに支え合って、構成されているのである。
そのことでも分かるように、
人間は、社会をつくって生きている。
社会とは、支え合う仕組みということである。”

“自然物の人間は、決して孤立して生きられるようにはつくられていない。”

“「いたわり」
「他人の痛みを感じること」
「やさしさ」
この根っこの感情が、自己の中でしっかり根づいていければ、
他民族へのいたわりという気持ちもわき出てくる。
君たちさえ、そういう自己をつくっていけば、
21世紀は人類が仲よしで暮らせる時代になるのにちがいない。”

“君たち。君たちはつねに晴れあがった空のように、
たかだかとした心を持たねばならない。
同時に、ずっしりとたくましい足どりで、大地を踏みしめつつ歩かねばならない。”