光の子どもたち in Canoa

日本とブラジル、2つの国の中から感じたこと、気づいたことを発信するなんでも日記。ブラジルからは、大自然を今に残す“カノア”における奮闘の日々をお伝えします。 『本当の豊かさってなんだろう?』キラキラ輝く子ども達の目に惹かれてやってきたこの村。『子どもが子どもらしく子ども時代を幸せに生きるためには?』という疑問を探す旅は今も続く・・・

2007年10月

f6704645.JPG保育園のクラスで、
2名の多動性の強い子ども達の家族との面談が行われた際、
一人の母親がこんな事を言いました。

『言う事を聞かないときは保育園にも行かせず、
家を一歩も出さないようにしています。』

そんな言葉に私達は

“私たち大人も、
たった一人で生きていく事は出来ません。
社会の中で過ごし、
生きていくために、
子ども達は
地域の中で遊び、
友だちをつくり、
そこから人間関係を学び、
地域社会で生きていく事を学んでいくのです。
どんなに大変でも、
一生家に閉じ込めておくなんて事できないんだよ・・・”

私たちがカノアで活動を始めたとき、
その種を撒いてもらった
“モンチ・アズール”
から学んだ一つの視点があります。

・・・子ども達を教育すること。
情報を交換することだけではありません。
地元住民がそれぞれの形で協力していくこと。
大人や青少年達が自分達の手で夢を掴むことを励まし、応援する。
それにより、
私たちが生きている厳しい社会の現実に立ち向かう力へと変えてゆくのです。
・・・今まで過ぎた日々に学び、
経験したことを伝えていく方法を探しながら、
他の必要としている地域と交流し、
つなげていく。
・・・様々なことを通じて。


この言葉をもう一度思い返し、
地域社会で生き、
活動していくという事に
努めていきたいです。

5d8e2314.jpg私たちが活動するエステーヴァン村は
ブラジル東北部に位置するセアラ州内にある。
ブラジル国内においても貧しい地域とされる東北部。
その中にあって、
人材育成に関しては
本当に難しい問題が山積みである。

サンパウロなどの都心では、
様々な分野の講座やセミナーが定期的に催されており、
周辺地域の団体などとのつながりも
こういった場を通して輪を広げていく事が出来る。
そのため、
必要ならば研修や、
見学、
実習など、
実践を学ぶ機会も数多くあるのだ。
一方、
私達が活動する東北部では
それぞれが活動を継続させていくことすら大変であり、
お互いが出会い、
共に学べる機会というのは
皆無に等しい。

そんな中、
ブラジル東北部内でも
講座やセミナーなど、
同じ関心をもつもの同士が集い、
学びあう機会を積極的に作っていこうという動きが
起き始めている。

先週末、
教師2名と私は
ブラジル東北部幼児教育セミナーに参加してきた。
3州からの参加ではあったが、
それでも
同じく『シュタイナー教育』を基盤としているもの同士、
意見を交換したり、
開催された数々の講座を通して、
学びを深めることが出来た。

こういった機会が今後も増えていき、
常に意識を高く、
学び続ける姿勢を持ち続けたいと
思っている。

ブラジルでは12日のこどもの日から
15日の教師の日まで4連休です。
その中日である13日。
セアラ州都フォルタレーザにある
UECE(セアラ州立大学)において、
日本語スピーチコンテストが開催されました。
今年で6回目を迎えるコンテスト。
なんと今年は
ブラジル東北部の5州から
合計18名の参加者が集まり、
日本語のスピーチを披露しました。
そして私は今回、
審査員として参加させてもらったのです。

上位2名はサンパウロで行われる全国大会に出場できるということもあり、
前もってもらっていた原稿を読んでみると、
なんとも素晴らしい日本語。。。

出場資格は
1.ブラジル在住で日本語を母語としないもの。
2.大会実施日の時点で16歳以上のもの。
3.日本で義務教育を終えたものは出場不可。
4.職業上、高度な日本語力を有するものは出場不可。
とされているため、
日本には何のゆかりもないような
ただ日本文化や言葉が好きで
勉強しているというブラジル人達なのです。

まず驚いたことは、
ほとんど訛りがなく、
きれいな日本語を話しているということ。
ただ、
いざ質問をしてみると、
意味を理解できていない場合が多っかたのが残念でしたが・・・
というのも、
原稿を丸暗記しているだけで、
実際に話せるかというと、
そうでもない・・・という参加者が多くいたのです。

それでも、
日本語で、
これだけのスピーチが出来るというのは
本当にすごいことです!!!
驚きました。

ブラジル東北部には
日本人も、
日系人も少ないといわれていますが、
それでも、
こうやって日本語を学んでいる人たちがいるということ。
なんだかとっても嬉しかったです。

と同時に、
私ももっと、
ポルトガル語を勉強しないと・・・
と思わせてくれました(笑)

4f1e2b14.JPG私達の活動を訪れる
たくさんの人々。
ボランティアとしてきてくれる人も
そうでない人も、
滞在期間を
少し
伸ばしたくなる。
そんな場所、
エステーヴァン村。

今年の始め、
観光で訪れた日本人女性。
3、4日が、
一週間に、
気づけば・・・
なんと一ヶ月もエステーヴァン村に滞在していました。

『それなら、
ボランティアとして働いてもらえばよかったねぇ〜』

笑いながら彼女に話した事を
今でも覚えています。

その後も、
訪れる人が

“明日、明日・・・”

といって、
なかなか帰れない。

そんな後ろ髪惹かれるこの村。
その魅力は、
一体何なのでしょうか?
それをぜひ皆さん、
体験しに着てみて下さい!!!

3d1bcb95.JPG9月。
合計4人のボランティアが
私達の活動に参加していまし・た。
最後のミィーテングの席で、
それぞれが感じた思いや
改善した方が良い点などを
発表してもらいました。

その中で、
小学校分校に一ヶ月間参加していたボランティアが
こんな事を言っていました。

『2、3年生になっても、
数字のわからない子どもがいる。
計算が出来ないのではなく、
“1”がどれで、
14というのはどう書くのかさえ、
分からない始末なのである。
これでは、
算数どころか、
それ以前の問題のような気がする。
こういった子ども達をサポートする方法が
必要とされているのではないだろうか』

小学校の分校では、
一人の教師が
3学年同時に教えており、
合計26名の生徒がいる。
黒板を3つに分け、
各学年ごとに説明していくのだが、
その間、
他の学年は自習となる。
午前の4時間しか学校に行かない彼らにとって、
その間に休憩や給食の時間を省くと、
実質1時間足らずの授業となる。
これでは、
全く追いつかないし、
分からない子どもはおいていかれてしまう。

私達の活動では、
学童教室があり、
その中で、
補習授業も取り入れています。
しかし、
日々の学習が追いつかない子ども達にとって、
補習授業をしても
根本的な学びがおろそかでは
残念ながら僅かな助けにもならないのです。

こういった問題に、
例えば一年を通して携わってくれるボランティアがいれば。


今年度より、
ブラジルは留年制度を廃止したため、
こういった子ども達は
勉強が分からないにもかかわらず、
毎年進学していきます。
留年というと、
余り良い制度ではないような気がしますが、
子ども達の発達に応じて
進学できるという点においては
大きな利点であったと考えています。

新たなる課題に対し、
何が出来るだろうか。
頭を悩ます日々が続きます。

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